第一には、やはりライバル(と言うには恐れ多いが)の増加が挙げられる。第2回まではライバルが隅野さんだけであり、ミスが8を超えなければ2位以上は確実であった。毎パソ1級のボーダー(2400点)も筆者にとっては余裕であり、1日1回、感触を忘れない程度に練習していれば上回ることができた。そしてこの時点では隅野さんの強大な実力を知りすぎていたため、あえてその壁をぶち破る気にはなれなかった。「1位を取れなくても2位で十分」という甘えがあったのは事実だ。結果的に、隅野さんという強力すぎる存在を前に、最初から勝負を避けていたと言われても仕方がない。
だが、第3回となる今回は谷口さん、小森さん、原田さんという錚々たるメンバーが新規に参戦。全員が「美佳テキスト」で筆者を上回るスコアを持つ英文のエキスパートであり、無策で挑めばトップ3にすら入れないという危機感が生まれた。これは、前回まで2回連続2位の筆者にとってはかつてない脅威であった。このうち谷口さんに関しては隅野さんをも上回る実力を持っており、負けて元々という考えがまたしても芽生えてしまった。だが、小森さんと原田さんに対しては正確さ最重視の長文ではまだ勝機があると考えており、無策で挑んで負けるのは悔しかった。実際、9月の一次予選で原田さんに完敗した時は心底悔しく、決勝でのリベンジに萌え燃え上がったものである。なお、この総括ではお三方に筆者を加えて「四天王」と勝手に呼称している。
それに加えて、「全日本タイピスト連合」という団体で参加したこともこれまでにない危機感となった。連合内だけでも英文の猛者が多く、うかうかしていると敗北しかねない状況であった。さらに、都大会と決勝大会では「全日本タイピスト連合」の看板自体が重圧となってのしかかった。リラックスしているように見えても、内心では相当の重圧と闘っていたのである。もっとも、生まれたのは危機感や重圧だけではない。第2回までとは比較にならないほどレベルアップした競争環境の中で、己の力がどれだけ通用するのかという気分の高揚も同時に存在したのは確かである。さらに、都大会では重圧を乗り越えた時のトランス状態も体験することができた。
第二には、練習の質と量を圧倒的に高めることでスコアに反映されるという事実自体に、求道者としての満足感を味わえたことである。第2回までは目標が甘かったために単に毎日打つという対策だけで臨んでいたが、それだけでも初見時と比べるとかなり高いスコアが得られた。だが第3回では、秘策を次々と発案し、それが的中してスコアが飛躍的に伸びていった。こうなると練習という行為自体が楽しくなり、練習量が増えてそれがまたスコア向上に結びつくという好循環が生まれた。これはタイプウェルや美佳シリーズを極めてよりハイレベルのスコアを出すのと全く同じ感覚であった。ついでに、毎パソでは予選や決勝の上位者ランキングが公表されるということも、競争心に火をつける一因となった。
第三には、毎日のスコアをタイピング日記にて包み隠さず公開することで、自ら退路を断ったことである。公開すれば当然ながらライバルたちを刺激するし、標的にされる(筆者が谷口さんの初見スコアを目標にしていたように)。一方、スコアを公開していないライバル(今回の場合は小森さん)の動きはこちらからは見えない。一見するとこれはとんでもなく不利であるように思われる。また、勝負の駆け引きを重視するならば、故意に高いスコアを公開することで相手の闘争心を萎えさせたり、故意に低いスコアを公開することで相手を油断させたりといった方法も考えられる。
だが、今回のライバルたちとの間には美佳テキストという共通の競争環境が存在したので、小細工をする必要が全くなかった。美佳テキストの結果から、相手の毎パソのスコアもある程度予測できるのである。実力が伯仲している場合、当事者の心理としてはまず相手を1ポイントでも上回るのが最優先であって、相手を完膚なきまで叩きのめすレベルを狙うのはさらにその先の話である。実際、都大会の前に2500文字ノーミスという目標を公言した段階で、優勝ラインは高々2600文字ノーミスくらいかなと予想していた。
だが、都大会で2848文字ノーミスなどという中途半端なスコアを出してしまったことがその後の急展開を生んだ。谷口さんと隅野さんが3285文字打ち切りを連発したため、決勝大会では最低限3000文字ノーミスを出さなければ勝ち目がないという意識が強まり、この数字を公言(高言?)してしまった。これは自分を追い込むには効果があったが、ライバルたちに刺激を与えるという副作用も生んだ。ここは少し控えめに、2900文字ノーミスあたりを宣言しておくべきだったかもしれない。
……余談だが、今回から決勝大会には1人1部門しか出場できないことになった。このため、筆者は予選の段階から英文にしか出場していない。本当は和文やテンキーでも己の実力を試したかったし、はっきり言ってしまえば全7部門とも決勝に勝ち残る自信があった。だが、Web大会や都大会で勝ったとしても、決勝に出られないのでは単なる参加費の無駄である。次回は是非とも複数種目で決勝に参加できる制度に戻して欲しいものだ。
この決勝ルールは同一人物による大臣賞の独占を防ぐというのが趣旨らしいが、筆者に言わせれば本末転倒である。第一に、優れたスコアを出した人を評価するというコンクールの本質から外れる。それどころか、谷口さん、隅野さんのような、複数種目でトップクラスの力を持つ人材を排除し、結果として大会のレベルを下げることになりかねない。新たな人材を発掘して大臣賞を与え、発奮させることも重要だが、旧い世代のトップクラスを打倒してこそ大臣賞にも価値が出てくるのではなかろうか。現状の毎パソのシステムは、大相撲に例えれば、幕内優勝力士をさておいて十両優勝力士に内閣総理大臣賞を与えるようなものである。第二に、今回の筆者のように最初から種目を絞る人が増える。だが、今後のグローバル社会で求められるのは、和文も英文も抵抗なく打てる人材である。仕事は言うに及ばず、趣味の世界やネットゲーム等でも和文・英文とも自由自在にチャットできた方が世界が広がる。この意味では、和文・英文・テンキーなど複数の種目の他に、総合得点でも順位を競っても良いと思う。
10時過ぎになって和文組が次々と戦場に赴いていく中、英文組が続々と登場。そして10:30頃、ついに真打ち、谷口さんの登場。小森さんとは面識がなかったのでこの時点では分からなかったが、他の役者は出揃った。
谷口さんとは秘策の話をいろいろと。どうやら秘策その0・2・8・9あたりはほぼ同じことを実行していたようで、今回の毎パソの必勝を狙う意気込みがひしひしと伝わってくる。目標を聞いてみると3100文字ノーミスとのことだったが、それはあり得ない気がしたため、森井さんと交互に「打ち切りノーミス狙いましょうよー」とプレッシャーをかけておく。
一方、筆者の内心としては、「谷口さんに勝ちたい! 英文で勝てるチャンスがあるとすれば(課題文章が短い)今回しかない!」という気分と、「タイピング求道者の1人として、谷口さんには是非とも打ち切りノーミスを狙ってもらいたい」という気分が交錯していた。姑息な手段を用いてまで勝ちにこだわる気には全くならなかった。だから秘策その7もやってもらったし(森井さんからは「敵に塩を送る」などと言われたが)、情報は可能な限り共有した。この辺が勝負師としては甘く、勝負に徹しきれなかったのは否めないが。
11:00頃。八十島さん持参のノートPCに毎パソソフトが入っているということで、皆で打ちまくる。膝の上に慣れないノートPCという状況ではつらく、筆者は2300文字台でミス6。もっとも、悪条件下では皆苦戦していて、森井さん2400文字台、谷口さん2500文字台……だったと思う。ただ、原田さんはMSDOSコマンドを打っているかのようなものすごい打鍵音を響き渡らせており、周囲の人をびびらせまくっていた。
11:30頃。廊下にマシンと東プレRealforceシリーズが設置され、毎パソ課題を打てるようになっていることに気付く。とりあえず打ってみたら2849文字(ミス0)。途中1箇所だけど忘れしていたり、打っている途中に話し掛けられたりしたが、幸先の良いスコアだ。
いろいろあって12:20頃本番の会場へ。何と毎日新聞社のビル内ではなく、如水会館という少し離れた場所で行うとのこと。しかも、全員揃ってゆ〜っくり歩いて移動したため、指だけでなく全身が冷えまくる。何だかヤバい雰囲気。おまけに会場は入り口のすぐ近くであり、待つ場所は扉が開くたびに外気が入り込んでくる。この時点で黄信号。
練習終了後、指が、というか全身が冷え切っていることを自覚。齊藤さんからもらっていたホカロンを駆使して指先を集中的に温めるが、心身の準備ができないうちに本番開始。この時点で緊張感が高まってきたが、自分はこれまで幾多の修羅場をくぐってきたのだ、何とかなると思い直し、スタートを切った。
第1段落からミスの嵐。打っては戻り、また打っては戻り。まずinformation。tionが入らず、ti.とかtinoとかになって5秒くらいロス。その後、今度はとにかくwouldが当たらない。この単語は第1段落だけで3箇所出てくるが、ことごとくwoldとかwldになり、その度に大幅タイムロス。その割に、普段は打ちづらいindustrial equipmentとかは一発で抜けたりする。それでも361回の練習で培われた実力でしのぎ切り、何とか1分20秒弱にまとめた。
その後しばらくは正確さを重視しつつ、打てるところは早打ちしていく。第2段落1分58秒、第3段落2分28秒くらい、第4段落3分05秒、第5段落3分28秒で突破し、ここまでは3000文字も狙えるペース。だが、ここで緊張感が頂点に達した。
第7段落。ここでもinformationでまた詰まる。それでもA passwordsミスに注意しつつそこそこ飛ばし、4分45秒くらいで突破。2900文字台には悠々届くと思い直し、第8段落を打ち進む。とりあえず2行目冒頭のcompanies.までは何事もなく終了。この時点で4分58秒くらい。確かThere arまで打てば2900文字だったな〜ってことで何気なくそのまま打ち続けた。が! しかし!
ふと画面を見るとそこにはthereという文字が! 何でShiftが入っていねえんだよ! 激しく焦り、裂帛の気合を込めてBackSpaceを連打するが……戻りきれずし・ゅ・う・り・ょ・う・・・・・
最後の最後! まさに最後の最後! 本当に最後の最後! とにかく最後の最後の最後の最後の最後の最後の最後の最後の最後の最後!!!!!
あれほど注意したのにクソミス!
またやっちまったヴォケミス!
バカヤローーーーー!!!!!
ざけんなあああぁぁっっっ!!!!!
会場では必死に自分を抑えていたが、つい「ヴぁ! しまった!」と叫んでしまった。
とりあえず毎日新聞社ビルに戻り、第5〜7部の表彰式を少しだけ見物。第6部は隅野さんが順当に優勝したが、内閣総理大臣賞はやはり前回もらっているという理由で別の人がもらっていた。会場入りが遅れた我々に席がなかったこともあり、早々に社員食堂に移動。また、森井さん、原田さん、八十島さんの文字数もこの辺までで一通り確認。森井さんが2600文字近くまで伸ばしながら痛恨の1ミスを犯したのも、今回の四天王の一角として警戒していた原田さんが2600文字台にとどまったのも、正直言って意外だった。そして、この時点で「1位谷口さん、2位小森さん、3位ひょっとして筆者」と予想。
社員食堂では再び八十島さんのマシンを借りて打つ。今度は2819文字(ミス0)。だからノーミスは本番で出さんかいっ! 一方、谷口さんは3000文字そこそこでミス5。これはひょっとするとひょっとするかも、と超かすかな期待を抱く。一方、和文では坂井さんが3位に入賞したことを知る。
14:40、第1〜4部の表彰式開始。都大会と違って、各部門の4〜15位を発表……などとかったりーことはやらない。いきなり内閣総理大臣賞の発表となる。「京都府……」ということで予想通り谷口さん。デモンストレーションでも1分間で第1段落(747文字)をほぼ打ち切っていた。圧倒的な実力差に、負けて元々ということで改めて納得できた。続いて総務大臣賞。「東京都 早稲田大学……」ということで森井さん。何で「全日本タイピスト連合」で呼ばれないのだろうと思う一方で、果たして筆者は1ミスに抑えられたのだろうかという疑念が沸き起こってきた。筆者が総務大臣賞をもらえないことは分かっていたが、第4部で森井さんを上回ったのならば表彰式でも先に呼ばれるはずではないのか? それに、小森さんがまだ呼ばれていないのも気になった。ひょっとして「1位谷口さん、2位森井さん、3位小森さん、筆者はミス4以上で爆死」か? と思えてきたのだ。
その後ややしばらくして「名誉大賞」。「東京都 全日本タイピスト連合……」キター! ってことで名前が呼ばれた。どうやら筆者は2位だったものの、総務大臣賞の連続受賞禁止ということでこの賞に回されたらしい。ちなみに、トロフィーは重心が予想外に高い位置にあったため、受け取る時に大きく体勢を崩され、ジャグリングもどきのようなことをやる羽目になった。何とか受け止めたものの、落としてしまっていたらかなりヤバかったような……。
第3部(英文A)は若手のホープ、谷本さんが優勝。第4部は5位原田さん、6位八十島さんということで、実は「全日本タイピスト連合」が2・3・5・6位を占めた。だが、結局「全日本タイピスト連合」とアナウンスされたのは筆者だけだった。
最後まで謎だった四天王の残り1人、小森さんには表彰式終了後にお会いすることができた。何と1段落すっ飛ばしをやらかしてしまい、残念な結果に終わってしまったとのこと。次回はお互いリベンジに燃えつつ頑張りましょう!
なお、決勝大会のスコアは2893文字(ミス2)だった。1ミスは最後の最後、thereだが、もう1箇所は一体どこなのだろう。というか2ミスと分かった時点で激しく鬱になった。今回第2位に入賞したのは偶然に過ぎない。小森さんと原田さんが本来の実力を発揮していたら、確実に4位まで落ちていた。それに、「全日本タイピスト連合」としても2ミスは恥以外の何物でもない。
……
その後は「全日本タイピスト連合」メンバー15名+谷本さんで打ち上げ。筆者は仕事がありやがったので20時に抜けざるを得ず、TOD対戦が全くできなかったのが残念だった。
一方、将来の第4回毎パソに向けた決意は既に固まっている。まずは、自分自身に落とし前をつけなくてはならない。文字数はともかく、2ミスという結果は自分を許せない。この屈辱は、第4回毎パソ決勝でノーミスを叩き出すことによってのみ晴らせるだろう。そして、筆者は今まで毎パソに3回参加し、英文部門では3回連続2位である。第2回までは隅野さん、第3回では谷口さんという分厚い壁に阻まれてきたが、次こそは1位を奪取したい。当然ながらその過程は今まで以上に長く苦しいものになるだろう。だが、タイピング求道者として、現状のままで終わりたくはない。
また、今回は「全日本タイピスト連合」の一員として参加した。発起人・兼・事務局として尽力された隅野さん、森井さんのおかげで、前回までの一匹狼的な闘いとはまた違った経験を積むことができた。お二人には、連合を発案した発想力と実際に立ち上げ引っ張ってきた行動力の両方に、改めて謝意を表したい。そして連合全体としても、「目立つ! 安くなる! 団結心! 思い出!」という当初のスローガン(?)は十分に達成できたのではないかと思う。連合は実に22名という大所帯になり、しかも1次予選→2次予選→決勝と上位を占め続けた。TOD2003やTOD2004の達人と同様、連合参加者は今後の毎パソにてマークされ続けることになるだろう。だが、そうしたプレッシャーに打ち勝ってこそ連合の名が輝き続けることができる。筆者も連合の一員として、上位の一角として立ちはだかる存在であり続けたいと考えている。
「PDFやWordの課題は使うべからず」
対策1:text形式のファイルをダウンロードし、練習用ソフトと同じ位置に改行を入れる。
対策2:自分が当日打ち切る分が1ページに入るようにプリントアウトする。
Wordなどでフォントサイズや行間を微調整する。行間は「1行」よりも少し詰めた方が良い。段落と段落の間は1行空けた方が見やすい。筆者の場合は1枚目に第7段落まで収めている。全部打てばちょうど2800文字。なお、フォントサイズを小さくしすぎたり、行間を詰めすぎたりするとかえって見づらくなる。B4など大きな紙に印刷すると、今度は改行時の視点移動が負担となる。
※2003.10.19に記録が2800文字を超えたため、第8段落まで収めるように急遽変更した。
※2003.11.9には最終段落に突入したため、最終段落まで収めるように変更しようと思った……が、1枚に全文を詰め込むとかなり読みづらい。よって、ここは都大会で隅野さんが採用していた方法、つまり「1枚目を課題ぶら下げ器に、2枚目を1枚目の最終行のすぐ下に配置」という方法を採用させてもらうことにした。
あと、ページめくりついでに言っておくと、本番ではディスプレイの横に課題をぶら下げる器具が配置されている。普段使っていない人は使わない方が身のためである。実際、筆者は第2回毎パソまでは机の上に課題を置いていた。だが、今回は攻略法その2を用いることで、頻繁に課題を見る必要がなくなったので、隅野さんの方法を用いることにした。
WeatherTypingには、自作のワードファイルを使って練習できるという機能がある。毎パソ課題を40〜60文字程度に小分けしたファイルを作成すれば、WeatherTypingを使って打ちまくれるというわけだ。このソフトの優れている点は、打鍵速度と正確さを客観的かつ容易に把握できることだ。最初のうちはWeatherTypingで英文を指に染み込ませるのが良いだろう。
Singleモードで打つ時は、正確さを重視する。毎パソは正確さ最重視なので、常に正確さ99%をキープできるように訓練しておきたい。98%以下だと本番で「ミス→Backspace」が増えてストレスがたまるし、100%を狙うと今度は遅くなりすぎる。筆者は「600wpmかつ正確さ99%」を目標にしていた。なお、WeatherTypingには「溜め打ち」という特有の攻略法があるが、これは使うべきではない。本番で溜め打ちなんてまずやらないのだから、練習時にも同じ環境を保つようにするべきだろう。
対戦する時は、速度を重視する。正確さ最重視の毎パソではあるが、ベース速度が遅いと正確さ最重視時の速度も遅くなる。速度を鍛えるには、同じくらいの速度の人と対戦するのが最も効率的だろう。
ただ、筆者は対戦よりもSingleモードを重視したいと考えている。文章に慣れるまでの間は対戦による速度アップが効果的だが、文章に慣れてしまうと今度は早打ちした時のミスの癖がなかなか抜けなくなる。対戦する時に正確さ99%以上という縛りを設けるのも1つの方法だが、対戦となると相手に勝つことを第一に考えてしまうので、自然と正確さが疎かになってしまう。
また、本番は5分間間断なく打ち続けることになるし、上位に食い込むには2000文字が最低ラインである。1ワード平均50文字としても、30ワードではまだまだ不足。2回を1セットとして、3000文字打つようにすれば良いと思う。
……
なお、「美佳テキスト」にも自作の課題文を打てる機能がある。だが、美佳テキストの場合は改行位置が本番と同じにならない(1行が約80文字を超えるとダメ)ので、今回は採用しなかった。WeatherTypingと同様、文章に慣れるまでの間は採用しても良いかもしれない。
これこそが究極の秘策である。
そもそもNon-Nativeが3000文字を超える英文を暗記するのは想像を絶する難事である。たとえ大意を暗記できたとしても、前置詞に何を使うかとか、コンマの有無とか、単数形と複数形の使い分けとか、主語にitやらsomeやらを使うとか、that節とto doのどちらを使うかといった、日本人が苦手とする細かい部分を正確に再現するのは困難を極める。生半可な暗記では、当日の緊張感の中で全然違う文章を打ってしまって轟沈するのが落ちだろう。例えばwould be〜とかadding〜とかpossible〜という表現が複数存在するため、混同してしまう事故がかなりの確率で起こり得る。筆者のように300回以上打ち込んでいても、このようなミスを根絶するのは難しい。
しかし、文章を丸暗記することで「紙←→画面」のうざったい視点の往復の回数が激減する。また、紙を見ている間に入力した文字がミスしていても気付かずに打ち進むことはよくあるが、暗記してしまえばこのような事態は激減する。打った文字は即座に再確認できるので、そこそこの動体視力があればかなりの確実でノーミスを達成できるのだ。筆者の場合は暗記を完成させることで短期的には平均200文字以上、長期的には平均400文字以上の入力数アップにつながり、しかもノーミス達成率が飛躍的に向上した(暗記前:約3割→暗記後:7割以上)。……って本番で2ミスしたら全く無意味だが。
このように暗記というのは超ハイリスク・ハイリターンな攻略法である。だが、今回の筆者のように、谷口さん、小森さん、原田さんという雄敵を相手にしなければならないという状況に追い込まれた時にはリスクを承知で是非とも採用したい。逆に、ノーミスで打てさえすればほぼ確実に勝てる谷口さんのような立場であれば、あえて採用しないという戦略もある。
暗記の方法については人それぞれだろう。ここでは筆者が採用した方法を紹介する。
筆者は当初は第7段落まで2800文字を暗記対象としていたが、2003.10.19に記録が2800文字を超えたため、第8段落も暗記対象とした。また、その後も記録が伸び続け、3000文字突破も視界に入ったため、結局最終段落も暗記対象とした。
さらに、可能であれば、指にも同時に暗記させるため、適当なテキストファイルを作って打ち込んでみると良い。この段階ではスピードは気にせず、詰まったら止まって思い出すようにする。どうしても分からない場合は文章を見ても良いが、そのような場所は必ずチェックしておく。また、打ち終わったらWindiff等のツールでミスの有無を確認し、ミスがあったら攻略法6のデータベースに蓄積する。
余談だが、筆者はこの方法を10月から11月にかけて計61回試している。通常の練習と合わせると、400回以上も打ち切っていることになる。
……秘策その2はベスト時のスコアを伸ばす策であるが、実はこれだけでは心許ない。従って、秘策その2のリスクをヘッジし、ミスを事前に防いだり、不調時のスコアを底上げしたりするために秘策3〜6を採用した。
英文で詰まるのは、打ったことのない単語、というか見たことのない単語がたまに出てくるからである。筆者は高校受験の頃からTOEICの頃まで、「分からない単語がいくら出てこようとも速読で大意をつかみ、問題だけ撃破する」能力を散々訓練してきたのだが、毎パソ英文を思い通りに打つにはそれでは不足だ。今回の課題はそれほど難しい表現が使われているわけでもなく、初見でもすらすら読めるが、たま〜に見慣れない単語が登場する。2003.8.22の日記に書いたshoring upがその代表格だが、他にもそういう単語やフレーズがあるので、ここでまとめて整理しておきたい。
……ちなみに、pursueやcompel A to doやprevent A from Bが分からないとか、第7段落のOne major change〜の文の主部がどこまでか分からないなんてのはもはや論外。高校英語(中学英語?)っつーか受験英語はしっかり勉強するべし。忘れてたら復習するべし。意味不明な単語の羅列を打つのと、意味の分かっている英文を打つのとでは、見通しが全然違ってくる。
なお、単語やフレーズの意味は『ロングマン現代英英辞典』からの引用である。
reportedly: according to what is said
coin: to invent (a word or phrase)
coinは「1コインクリア」のコインではなく、動詞として使っている。reportedly coined the termは「用語を生み出したと言われている」となるだろうか。和文では「用語として提唱した」と断定しているのに、なぜか英文ではreportedlyを追加している。
relentless: continuously severe or cruel
gadget: a small machine or useful apparatus; DEVICE
(A gadget is a small and perhaps unusual device for doing a particular job)
Society has relentlessly pursued one new gadget after anotherは「社会は狂ったように、新しいモノを次から次へと追い求め続けてきた」という意味になる。和文では「便利さを追求してきた社会はかえってあわただしく、余裕を失っている。」となっているが、英文では後半の意味がカットされていることが分かる。それにしてもgadgetとは見慣れない単語だ(単にTWに出てこないからかもしれないが)。
embrace: to include or cover / to make use of or accept eagerly
embracing inconveniences「不便さを利用する/熱心に受け入れる」。和文の「不便さを再発見する」と概ね一致。というか英訳としてうまい表現だと思う。
shore up: to support (something that is in danger of falling)
shoring up security arrangements to keep hackers out「ハッカーに侵入されないようにセキュリティ対策を施す」。和文では「外回りの営業担当者の敏速な決定を支える、安全なシステムの構築だ。」となっている。英訳では前半をカットする一方で、to keep hackers outという表現を追加している。確かに「営業担当者の敏速な決定を支える」というのは「安全なシステムを構築する」ための直接の理由ではない。セキュリティ面を強化するのはあくまでもハッカー対策のためであるはずだ。
余談だが、筆者はこのフレーズを調べる前はついついshorting upと打ってしまう凡ミスを連発していた。
usher in: to bring, esp. by showing the way
One major change that ubiquitous computing will usher in「ユビキタスコンピューティングがもたらす1つの大きな変化は」。和文では「ユビキタス社会がこれまでと大きく変わるのは」。これは概ねニュアンス一致。
disrupt: to bring or throw into disorder
prevent people from disrupting our private lives「他人が我々の私生活を乱すのを防ぐ」。和文では「他人が携帯端末を通じて自宅に入りこみ、ガス栓を開いたり、風呂を空だきされたらたまらない。」となっているが、英文ではかなり端折っている。Editorialということは字数制限もあるだろうから、致し方ないのだろう。それに英語圏はシャワーがメインなので、「風呂を空だき」という概念がないのかもしれない。
というかdisruptは受験単語に出てきた気もするし、TWにも出現するはずだが、完璧に忘却していた。まぁ上記のように文脈から推測できるので、精読するのでなければ問題ないが。
Inasmuch as: owing the fact that; to the degree that
「〜であるから」。これも受験単語に出てきたような気がするが忘れていた。というかここも文脈から推測可能。
uphold: to defend (esp. a right or principle) against attack; prevent from being weakened or taken away
「(権利や原則を)守る」。Inasmuch as people's savings and lives will be on the line, strict coding standards must be upheld.「人々の貯金や身体の情報がオンライン上に存在するようになるため、厳密な暗号化基準が守られなくてはならない。」……和文では「お金や身体の情報は暗号によって厳重に守られなくてはならない。」となっているが、英訳時に微妙にニュアンスがすり替わっている。特に、和文では守るべきものが「お金や身体の情報」となっているのに対し、英文ではあくまで「暗号化基準」であるところが興味深い。文化的背景の違いによるものであろうか。
shape up: to develop well or in the stated way
「成長する」。
full-fledged (fully fledged): completely trained
もともと、(of a young bird) having grown all its feathers, and now able to fly「(鳥が)羽が生え揃い、飛べるようになっている」という意味がある。これが転じて「完璧に訓練された」という意味になる。
以上より、This year is shaping up as the start of full-fledged ubiquitous computing.は「今年は成熟したユビキタスコンピューティングの始まりとして成長していく」といった意味になる。和文だと「03年は、家庭内の情報機器を無線でつなぐブルートゥースや、無線LAN(構内情報通信網)が一般化するなど、ユビキタス元年になると予想されている。」となっている。英文ではブルートゥースや無線LANの例を端折っている一方、「ユビキタス元年」の意味を補っている。
keep track of: to keep to keep oneself informed about a person, situation, etc.
「(人や状況に)遅れずについていく」。ここでは「常に注意を払う」くらいの意味。we keep close track of our car and house keys「我々が車や家の鍵に常に注意を払う」。和文では「車や自宅のカギを日常持ち歩く」となっている。
おまけ:
第4段落のthe arrival ot ubiquitous computing will not compel everyone to go online「ユビキタスコンピューティングの到来により、皆がオンライン化を強いられるわけではないだろう」。和文では「ユビキタスも人それぞれに付き合い方を工夫することになるだろう」となっているが、これでは英訳する時に言葉足らずなのでかなり補っている。
攻略法その2を採用した場合、フレーズごとミスしたり、1行・1段落すっ飛ばしたりする可能性が非常に高い。少しでもミスを減らすため、文章の全体像を把握しておく必要がある。
まず、練習用ソフトと同じ位置に改行を入れた場合、各段落の行数は次のようになる。また、冒頭部分はすぐに頭出しできるように徹底的に暗記するべし。これだけで、1段落すっ飛ばし(→問答無用で即死)のリスクが限りなく0に近づくのだから。
段落 行数 累計 文字数 累計 冒頭 1 10 10 747 747 "Ubiquitous" is derived from 2 6 16 444 1191 For instance, a worker can call up 3 4 20 282 1473 In daily life, it would become possible 4 6 26 386 1859 But do we really need such conveniences? 5 3 29 238 2097 But the march of progress cannot be halted, 6 6 35 395 2492 People already own many command-issuing devices, 7 4 39 308 2800 One major change that ubiquitous computing 8 4 43 244 3044 Electronic transactions are likely to expand 9 3 46 241 3285 This year is shaping up as the start
第4段落のすっ飛ばしに要注意。冒頭のButを打った後、第5段落に突入しないように。また、第5段落のすっ飛ばしにも要注意。2行目のfutureが第6段落と同じような位置にあるためだ。
また、練習用ソフトでは15行で画面がいっぱいになる。つまり、第2段落の最終行(had previously been possible〜)に突入した時点でスクロール開始。その後は順次スクロールしていくが、どこかで再び15行チェックを行うと確実。とはいえ、15行チェックでは視点の移動が大きくなりすぎてタイムロスになる。やはり各段落を打ち終えた時に行数をチェックする方が現実的だろう。
さらに、課題をやり込んでいくと大まかなペース配分というのも見えてくる。筆者の場合は大雑把に言うと次のようになる。実際にはこの数字まで暗記する必要は全くなく、課題用紙に書き込んでおけば良い。また、本番では基本的に直前の練習の時のタイムよりもやや速いペースを意識すれば良いだろう。
3000ペース 2900ペース 2800ペース 2700ペース 2600ペース 第1段落 1分13秒 1分15秒 1分16秒 1分18秒 1分22秒 第2段落 1分55秒 2分00秒 2分03秒 2分09秒 2分15秒 第3段落 2分20秒 2分25秒 2分30秒 2分39秒 2分50秒 第4段落 3分00秒 3分05秒 3分15秒 3分24秒 3分35秒 第5段落 3分23秒 3分28秒 3分35秒 3分50秒 3分55秒 第6段落 4分00秒 4分10秒 4分15秒 4分35秒 4分48秒 第7段落 4分35秒 4分45秒 5分00秒 ─ ─ 2500ペース 2400ペース 第1段落 1分28秒 1分35秒 第2段落 2分20秒 2分30秒 第3段落 3分00秒 3分10秒 第4段落 3分45秒 3分55秒 第5段落 4分05秒 4分15秒 第6段落 4分58秒 ─ 第7段落 ─ ─
余談だが、文字数も大まかにつかんでおくと良さそう。1行あたりの文字数はだいたい75〜80と思って良い。また、以下のような区切りとなる文字数については課題用紙に書き込んでおくと良いと思う。
●第6段落 electronics devices. Onまでで2400 shoring up までで2450(スペース含む) ●第7段落 One maまでで2500 usher inまでで2550 attached to codまでで2600 now required before までで2650(スペース含む) stringent foまでで2700 will be required toまでで2750 our private lives.までで2800(改行含まず/改行まで打つと2801) ●第8段落 expand as までで2850(スペース含む) There arまでで2900 Inasmまでで2950 on the lまでで3000 ●第9段落 Thisまでで3050 full-fledged uまでで3100 to carryまでで3150 just as we kまでで3200 From tまでで3250 最後までで3285
本番はかなりの悪条件下で闘うことになる。眠気、寒さ、慣れないキーボード、周囲の打鍵音&視線、そして緊張感。今回は前回までと違い、ミスを抑えて打ち抜けさえすれば2位以上が確実ということは全くない。少なくとも3000オーバーのスコアを出さなければ5位以内にすら入れないだろう。この意味で緊張感は激増する。よって、少々の悪条件でもへこたれないタフな精神力を身につけなければならない。
※本番では事前に3分間だけ練習できる。この重要性はあえて語るまでもないだろう。眠った体と脳と指を叩き起こし、当日の癖(ミスしやすい箇所、暗記漏れの箇所など)を確認し、2回目でベストパフォーマンスを叩き出せるように全身全霊で準備を調えるのだ。
攻略法その2で怖いのは、何と言ってもミスである。1行すっ飛ばしミスや段落すっ飛ばしミスといった大きなものから、複数形やコンマ、ピリオドの有無といった小さなものまで様々である。絶好調の時にも思わぬ落とし穴に足をすくわれる。
これを防ぐためには、ミスしやすいポイントを事前にピックアップして暗記することが欠かせない。
●全体的に ・最重要ワード、ubiquitous(計7回出現)に慣れておけ! ・the, thenに要注意(teh, hte, tehn等と打たないように) ・スペースのタイミングをずらすな! ・特に、各段落の終わりに注意(先にスペースを打つな!) ●第1段落 要注意ワード:developed, equipment, industrial, Internet→減速! 単数形と複数形: systemは1箇所のみ(Tron operating system) phones*2, networks, commands, computers, TVs, consoles, PDAs commands would be issued by (would be based とか would be ableと打たないように) mobile phones and industrial (phonesの後にコンマは不要) digital networks from anywhere (networksの後にコンマは不要) digital TVs, and computer game consoles (and忘れに注意!) systems, and other mobile systems (and忘れに注意!) ※andは列挙部の最後だけ。(但し2箇所) provide access (dとcを逆にしないように!) digital networks / mobile systems (枕詞に注意) ※digital documents などと打たないように!(第2段落との混同) ●第2段落 要注意ワード:only inside a digital document (枕詞/単数形) on a portable computer while (whileの前にコンマは不要!) safe online systems can (wouldではない) workers to perform (keep out intrudersではない) perform a range of tasks (a忘れに注意) that had previously been (do not requireではない) only inside the company (to send commandsではない/先にsを打つな!) on-site / e-mailing(ハイフンに当たりづらい) office. Using (ピリオド。第1段落のoffice, と混同するな!) ●第3段落 要注意ワード:confirming, refrigerator, machine it would become possible to send commands so that that do not require (had previously beenではない) the washing machine, the refrigerator, TV programs ※the TV programsではない ●第4段落 要注意ワード:conveniences, inconveniences ※eとnは3文字おきに3回来る。それに接頭辞のinが加わる。 要注意ワード:Technological advancement 要注意 But do we really need (段落すっ飛ばし厳重注意!) 要注意 Technological以下のすっ飛ばし many people find that (peopldとしないように) they now have (nowの方が先) Some have even (Even before thenと混同しないように) Society has relentlessly pursued one new gadget after another (主語を忘れやすい。relentlesslyやgadgetは打ちづらい。) ●第5段落 要注意 But the march of progress 要注意 future. の次はJust 要注意 as some / not to (スペースのタイミング、sやtのタイミングに注意!) the arrival (butは不要! 混同するな!) is toward a (towardsではない。aも忘れないように) Just as some people today (find that they now have ではない) ubiquitous future compel everyone (eompelなどと打たないように) ※ubiquitousに続く表現は、大抵computing。futureが続くのはここだけ。 あと第6段落にubiquitous-capableという表現が1箇所だけ存在。 ●第6段落 要注意ワード:greatly, -tion, -tions, simply 要注意 ubiquitous-capable, ubiquitous computing ※混同に注意。あとハイフンにも当たりづらい command-issuing (ハイフンに注意) at home (忘れるな!) arrangements(arreとかgとか複数形忘れに注意) by addingは2つある。 1回目はubiquitous-capable functions. 2回目はtelecommunication functions to... consumer electronics devices(難所) biggest 意外と打ちづらい。 接続詞としてsoを2箇所で使っている。実はここだけ? electronics (複数形、ctrに注意) adding telecommunication (addintとしないように!) ●第7段落 厳重注意 change(複数形ではない!) 厳重注意 A password (余分なsをつけるな!) heightened importance attached to (importance の次にthatはいらない) identification (複数形ではない) accessing the Internet (accessintとしないように!) accessing the Internet, but even more (but many people としないように!) disrupting our ●第8段落 Electronic (余分なsをつけるな!) transactions (こっちはsが必要) Inasmuch (タイプウェルに出てこないワード。要注意!) coding standards (複数形) ●第9段落 full-fledged Shimbun(mnミスに注意)
やはり運動系か。「腕立て伏せ」「腹筋」「スクワット」「ランニング」などなど。但しあまり激しい運動はかえって逆効果かもしれない。腕立て伏せは腕や指に影響するかもしれない。
いや、もっと効果的な方法がある! それは……
当日本番会場でAMSエージェントになれ!(爆)
早い話が、キーボードを会場に持ち込んで、膨大すぎる待ち時間を利用してシャドータイピングをやるということだ。もちろん本番でマイキーボードを接続することはできないし、待ち時間に接続可能なPCもない。だが、シャドータイピングには少なくとも眠気を覚まし、指を活性化する効果がある。理論だけではなく、2003.10.26の都大会で実証済みである。
※というか、当日は谷口さんや八十島さんが持ち込んだノートPCで課題をバリバリ打っていたし、東プレRealforceで試し打ちすることもできた。
また、受付前に首からキーボードをぶら下げて注目を浴びておくのも、本番の緊張感を緩和するための手段としてなかなか有効である。ついでに、高速タイピングを行って周囲をびびらせるという追加効果もある(笑)。
谷口さん、小森さん、原田さんという強豪を相手にするには、尋常な手段ではとても追いつかない。攻略法その2もなかなか効果的だが、特に谷口さんについてはそれだけではまだまだ及ばない。そこで、「究極の秘策」第2弾としてスピード練習を提唱する。
本来、正確さを最重視する毎パソでは、スピードを犠牲にしてでも正確さに偏向し、ノーミスを第一目標とするのが正統的な攻略法である。だが、隅野さんと1・2位を独占していた前回までと違い、正確に打つだけではベスト3すら危うくなった今回は、ベース速度を上げなければ到底勝ち目がない。
ただ、スピードを上げてもその分だけミスが増えるようでは逆効果だ。何しろ、3000文字4ミスは2500文字ノーミスに劣るというのが毎パソの得点システムなのだから。よってここでは、トップスピードを5分間維持するようなタイピングは奨励しない。トップスピード付近で打ったりリカバーしたりする練習を積み重ねてベース速度を上げ、その結果として正確さ最重視時の速度を増すというのがこの攻略法の趣旨である。
隅野さん発案。毎パソ英文には加速しやすい箇所としにくい箇所がある。下手に加速するとミス連打を招くところもある。従って、事前に加速するべき場所を決めておき、そこで一気に飛ばすのが効果的である。
この攻略法はその8と組み合わせると想像を絶する破壊力を発揮する……と思われるが、残念ながら筆者はまだまだその域に達していない。
加速するべき場所:
第7段落:(telecommu)nication functions to consumer electronics
などなど
森井さん発案。得意な段落を伸ばしてタイムアタックをするのも良し、苦手な段落を克服するのも良し。
課題ソフトだけで練習していると、特に後半の方の段落は打つ機会がなかなか巡ってこない。そのため、本番でせっかく快調に飛ばして後半に突入したのに、トレーニング不足で思いっきり減速という悲惨な事態も考えられる。よって、筆者はまず第7段落以降にこれを適用した。
さらに、本番で死命を制するのは何と言っても第1段落。次に第2段落である(文字数が多いため)。ここは十分に時間をかけて、本番でベスト近いタイムを叩き出せるだけの安定感を身につけたい。また、第3段落〜第6段落も決して侮ってはいけない。……要するに全段落を同時に強化しなければならないのだが。
ただ、段落ごとの練習ばかりしていると本番で段落すっ飛ばしをやらかしてしまうかもしれないし、5分間打ち続ける時のペース配分の感覚もつかみづらい。この攻略法は課題ソフトを使った5分間の練習と並行して用いるべきだろう。
休日を利用して、10本勝負。まぁこれは、単に試行回数を増やせば良いというものでもないので、効果的と見るか否かは人それぞれだろう。練習初期の、まだ指がろくに文章を覚えていない時期なら集中打も効果的だが、ある程度指暗記ができてきたら、練習の質を高めた方が良い。例えば乱打で10回続けて打つよりも、精神統一しつつノーミス狙いで2回打った方がマシだと思う。